生理学に基づく犬・猫の飼い方

犬の飼い方

犬の祖先はオオカミからつくられたといわれています。ですから犬と猫は基本的にちがい、猫は家族を親として見ているのに比べ、犬は飼い主様の家族を群れの仲間として見ているといわれています。
犬は優れた知性と特殊な能力で人間の最良のパートナーとして暮らしてきました。しかし、犬としては当たり前の行動でも、人間と一緒に暮らす上では人間にとっては問題となる事があります。人間社会の中でお互いが幸せにすごすために、しっかりしつけてあげる必要があります。最初はやんちゃで手に余ることもあるかもしれませんが、人間の心をくみ取り、人間と一緒に楽しむ伴侶動物である犬は、十数年あなたの最良の友となってくれるでしょう。

子犬がうちにやってきたら

まずは環境になじませることが大切です。移動によって疲れているので最初はゆっくり休ませてあげてください。環境になじむまで最初の1週間くらいは触りすぎないように気をつけて(特にお子さんは!)下さい。子犬の睡眠時間は最低15時間といわれているので、寝ているときは無理に起こしたりせず妨げないようにしましょう。
子犬の方からの誘いかけがあれば疲れてしまわない程度に遊んであげて下さい。子犬に寂しそうまたは不安そうな様子があるときはやさしく声をかけながらゆっくりと触れてあげて下さい。大きな声で驚かせたりするのは禁物です。
家に来て1~3日間は夜中に寂しくて鳴くことがあります。その場合は、すこし明るくしておき、かちかち音のする時計や、小さなラジオをおいてあげると落ち着くかもしれません。どうしても落ち着かない場合、人がいるのが分かるような場所にケージをおいてあげるのも一つの方法です。鳴いているときに行くと、鳴けば人が来てくれると犬が間違った学習をするのでけっしてかまいに行ってはいけません。
部屋のどこかの片隅にクレートやケージなどをもうけて、子犬の居場所をきちんと決めてあげることが大切です。

大切なしつけ

飼い主がいいリーダーになる

犬は群れを作って生活する動物です。家族の中で、自分を人と思っているのではなく、家族を一つの群れと認識して暮らしています。犬の幸せは2種類あり、一つ目は群れの中でリーダーになること、もう一つはいいリーダーに巡り会うことです。家庭の中で飼うときは、言うまでもなくヒトがリーダーにならないといけません。力ずくで言うことをきかせるのではなく、犬が喜んで人に従っているようにしなければなりません。
また、犬が自分が偉いと勘違いをしないように、普段から「ごはんは家族の最後にする、目の前で家族げんかをしない、散歩は人間がリードする、肩に抱いたり犬の目線の方を高くさせない」などに気をつける必要があります。また何かを与えるときにはまず人間が命令をし、それに従ったご褒美としてものをあげるようにしましょう。犬が要求したり主導権を取っているときに報酬を与えるのは犬が勘違いしてアルファーシンドロームなどの問題行動の原因になります。

ご褒美と叱り

失敗してしかりつけることは効果がないばかりか、かえって害の方が多いことがあります。いけないことをしたときに声をかけるなら、失敗してから3秒以内に短い言葉で声をかけないといけません。たとえばなにかの失敗を何分もしてから叱っても無意味ですし、犬は飼い主に「いやな目に遭わされた」としか思いません。後から言われても反省もしないし、学習もしません。よく「うちの犬は反省した顔をする」というのは大きな勘違いです。実際には雰囲気がきまずいのでとりあえず服従姿勢を示しているだけで、間違っても反省しているのではありません。叱っても問題の解決にならないばかりか、犬と飼い主の心の絆を壊して、顔を合わせると逃げていくような犬になることもあります。
犬はよく日和見主義者といわれますが、自分にとって楽しいことは喜んでする動物です。「いけない、いけない」と連呼しながらいやなことを無理にさせるのでなく、人にとって好ましい行動をとったときに、思い切りほめてその行動を強化するようにしましょう。気がつくと人に従う形になっているような状態にするのが愛犬のしつけの理想的な形です。

社会化の時期

人は「三つ子の魂百まで」といいますが、犬の性格は6ヶ月まででほぼ決まってしまいます。特に生後4週から12週までは社会化期と言われています。 もともとの野生の動物では、4~8週は巣から出始め好奇心がもっとも強い時期、8~12週は外敵に出会いはじめ恐怖心を覚える時期といわれていますので、覚えておいて下さい。他の犬や動物、乗り物に馴れさせるには8週までにいろんな経験をさせるのがいいと言われています。
犬の訓練は犬が家にきたその日から始まっています。しつけの基本は良い行動を強化する、悪い行動に対して褒美を与えないということです。良い関係を築くことは人と動物がお互いに幸せに暮らせるようになる基礎になります。がんばっていい犬に育てましょう。犬の将来は飼い主さんにかかっています。

アイコンタクト

アイコンタクトはしつけの基本です。アイコンタクトができるということはリーダーシップがとれているということの証拠です。
最初は名前を呼んでこちらを向かせることから始めますが、名前を呼ぶときはなにかいいことがあるときだけにしてください。なにも無いときに呼んだり、呼びつけて叱ったりすると、名前を呼ばれても無視するようになったり、場合によっては名前を呼ばれると逃げていくようになります。最初はフードを飼い主様と犬の目と目の間に持っていき、名前を呼んでこちらをじーっと見ることができたら、ご褒美としてそのフードをあげます。そうして人間に呼ばれるといいことがあると覚えさせて下さい。アイコンタクトができると、散歩中に危険防止のために立ち止まらせたりすることがスムーズになります。なにより支配性を確立する第一歩となります。
成長してからも、飼い主さんの目をよく見上げる犬は飼い主さんをリーダーとして認めている証拠です。

おすわり・ふせ・まて・おいで

幼いうちは完全にするのは無理ですが、少しずつできることを教えていきましょう。ポイントは無理強いさせない・成功したらその場でオーバーなくらい思い切りほめるということです。例えば、おすわりも無理にお尻を押し下げるのでなく、おやつを目の上に持っていって、自然と腰が下がったらすかさず「すわれ」と声をかけて、それからおやつをあげます。そうすると、座った行動と号令と、ご褒美が結びついて記憶されます。(陽性強化)。無理にさせてそれが支配性につながるのではなく、よろこんで命令に従うことで人間を良いリーダーと認識していくのだと覚えておいてください。
なおこのようなしつけの際の号令で一番気をつけなければならないことは、号令の言葉をきちんと家族の中で決めておくということです。
家族の中で、ある人は「すわって」、あるひとは「すわれ」とかでは指令の解釈を犬が戸惑ってしまうことがあるからです。

クレートトレーニングとトイレのしつけ

犬の祖先は穴ぐらなどを巣にし、子犬は普段は巣の中にいてトイレの時に巣穴から出て外で用を足していました。巣の中にトイレをするスペースを区切ったりすることはありません。家の中でもクレートを使って、落ち着いて寝る空間を作ってあげます。普段はそこに入れて休ませておき、遊んだりトイレをするときだけ出すようにします。鳴いたからと、かまうのはよくありません。そして外もしくはトイレに1~2時間おきくらいに連れていきます。そして飼い主の前でトイレをしたらうんと褒めてあげ、なにもしなかったらそのままクレートの中に戻します。そうすることで、クレートの中ではおとなしくしているということと外でトイレをすること、飼い主の前でトイレすると楽しいということを学びます。
なお従来いわれていた、失敗したらそこに鼻をこすりつけて畳を新聞紙でバンバン叩きなさいというのは無意味なだけでなく逆効果なのでしないでください。それをするとトイレをしているときに飼い主が来ると隅に隠れるようになったり、飼い主から隠れて隅でそそうをするようになることがあります。犬に不安感と飼い主への恐怖心を与え、心の絆を破壊します。現行犯の時はひと言「いけない」と声をかけ、トイレに連れて行ってください。後で叱っても犬には分かりません。よく犬が反省した顔をするというのは間違いであり、おおむねそれは怒られないための服従姿勢です。

噛み癖・飛びつき癖

子犬にはものを噛んだり、じゃれたりする本能があります。この時期このような噛むしつけを人にとっても犬にとっても危険のない方法で行う必要があります。いわゆるじゃれ噛みの時に手を噛ませて遊んだり、声を上げてかまったりすると、人を噛むと楽しいと学習して、困ったことになってしまいます。人にとって好ましくない行動をしているときはまず、褒美を与えないということに徹底してください。そういう行動を始めた時には声もかけずにその場を立ち去るか、行動をとれない状態にしておちつかせる等が大切です。叩いたりすると、よけい興奮したりすることもあるのでおすすめできません。
その代わりに噛んでも差し支えない好ましいおもちゃを与えましょう。基準は犬にも無害でわかりやすいものです。コング(硬質ゴムのおもちゃ)などがおすすめです。古靴下や古靴、古スリッパなどは新しいものとの区別が付きにくくなる危険性,あるいは異物誤飲事故の原因にもつながりますので止めて下さい。
靴などを噛んでいるときにそれをとろうとすると、大切なものを横取りされると考えて奪われまいとしたり、噛みついてきたりすることもあるので気をつけてください。目を離した隙に片付けその後その子の周囲に置かないようにすることが大切です。

主導権は人間が持つ

犬は群れの中での順位をいつも考えている動物ですが、リーダーになるのは人間でなくてはいけません。鳴いたからかまってやる、吠えたからごはんをやる・・などとしていたのではどちらがご主人か分かりません。犬がご褒美をもらえるときは、犬が望んだからもらえるのではなく、人に従ったときだけもらえるという風に統一しましょう。

問題行動

時として、人にとっては耐え難いようないわゆる「問題行動」が起こることがありますが、人が犬のもともとの生活行動を理解していないため、もしくは犬に問題行動を起こすような環境を作っていることが原因のことが多いです。問題行動のある時にはそのうちの約80%は人間に原因があるといわれています。
なにか問題となるような行動をしているときにはまず、その状況を細かくチェックしてください。排尿の失敗だと、トイレの汚れとか膀胱炎などの病気が問題となっていることもあります。また問題行動に対して人間が知らず知らずにご褒美をあげていることもあります。犬がワンワン吠えているときにかまいに行っていると、吠え癖はその後も治りません。
問題行動があるときにはまずご褒美をあげないようにして、それに代わる好ましい行動を教え、強化してください。

猫の飼い方

犬は集団生活の中で複数で狩りをしますが、猫は単独で行動し狩りをします。犬は家族を群れの仲間と認識しリーダーとして慕いますが、猫は人間を群れの仲間というよりも自分の母親のような存在として慕うと言われています。
群れを作らないから他の個体と親しくしないかというとそうではなく、オスはたしかに独り立ちして自分のなわばりをしっかり守り他の個体、特にオスとは激しいケンカをしますが、メスは親・姉妹で共通のなわばりを持ち、仲良く暮らす傾向があるといわれています。オス同士でも気が合えば仲良くできるようです。子猫の時から他の猫とよく接触していた猫では特に「ネコ好き」なコになれるようです。逆に子猫の時にそういう経験をしなかったネコに途中から他のネコと仲良くさせようとしても難しいかもしれません。猫の社会化期は2~7週といわれています。この時期にはいろんな経験をさせるのが重要です。

家の中で飼いましょう

家の外には他の猫とのケンカや交通事故、迷子になる危険などがいっぱいです。また他の猫からエイズや白血病、猫コロナウィルス感染症、伝染性鼻気管炎、etc・・などいろんな病気の伝染の可能性もあります。ノラ猫の平均寿命は2~3年といわれています。家族の一員として末永く健康で長生きさせるためにも、家の中で飼うようにしましょう。

大切なしつけ

トイレ

猫はきれい好きで、トイレを砂場でする本能が備わっているので苦労しないことが多いです。ただ、最初に布団やじゅうたんなどに間違って覚えることもありますので、その時には怒らずに紛らわしいものを片付けトイレが一番用を足しやすい状況を作りましょう。怒るのは無意味だけでなく有害です。

しつけについて

猫は家族をリーダーとしてみているわけではありません。犬はリーダーに従う喜びというのを持っているためしつけをしやすいのですが、猫はそういう感情は持っていないので猫に無償の服従を期待しても無理です。無理矢理いやなことをさせようとすると人間を警戒し、場合によっては敵と判断するようにもなります。
人間のような善悪感情も持っていないため、怒ることはたいがい無意味です。怒ると飼い主と猫の間の心の絆を傷つけることになりかねません。自分にとっていいことがおきたり心地よいことがあるときにはその状況を学習しますので、それを利用するようにします。 またなにか良くないことをしているときにはその状況を考えて、その行動をとれないようにしましょう(例.台の上に魚を置いておかない等)。そんな状況を作った飼い主の方にまず非があるということを覚えておいてください。
カーテンでつめを研ぐとかの行動には代わりにもっと爪とぎのしやすいものを与えるなど、猫の持っている本能を満たす環境を作ってあげて下さい。
それでもだめで罰を与えるときには飼い主が直接手を下すのではなく、猫にとって「天罰が下った」と感じられる方法にして下さい。直接手を下しても飼い主が近づくと恐怖を感じたり不信感を持つようになる危険性が高いからです。それよりもそのような状況がかえって嫌なことなんだと思わせることがコツです。
つまり猫が自分のした行動といやな経験を結びつけてあげて猫自身が学習していくことが重要です。